研究課題
過冷却水、結晶氷、アモルファス氷を同一の装置内で生成し、軟X線発光測定を行うための試料導入システムを設計、製作した。これを用いて急冷条件でアモルファス氷を堆積させ、その後アニールによって結晶氷を生成した。生成物が所望の状態にあることをファイバープローブ付反射型FTIRを用いて評価することを試みたが、試料面に対して最適な角度でプローブを接近させることが難しく、S/N比が良く生成物の状態を評価できるようなIRスペクトルを取得することができなかった。そこでまずは、直接軟X線発光スペクトルを取得して液体の水との違いを評価できるかどうかを検討した。得られた軟X線発光スペクトルは水よりも氷由来のピーク強度が増加することを示し、これまで液体の水で議論してきたピークの帰属に間違いがないことが裏付けられた。一方で、結晶氷でも一部に氷由来でない信号が見られることがわかった。これが本質的なものか、測定した試料に問題があるのか、実験装置の改良とスペクトルの計算機シミュレーションとの連携で今後見定めてゆく必要がある。また、水-アルコール混合系の測定では水とアルコールの両方に含まれる酸素を見分ける手間がかかるため、水-アセトニトリル系の測定に切り替えて、1相から2相に分離する相転移点(アセトニトリルモル分率0.38,T_c=272K)近傍での温度変化による軟X線発光スペクトルの変化を追いかける実験を行った。しかし精密な温度制御が難しく、現在のところ顕著な変化を観測することができていない。今後温度調節の改良が必要である。
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Chemical Physics Letters (FRONTIERS article) accepted(掲載確定)