研究課題
単層カーボンナノチューブ(SWNT)の一次元構造を、電荷輸送する低分子の足場として活用することを考え、光機能性分子を可溶化SWNTの側壁上に配列させた。具体的には、SWNTの末端に長鎖アルキル基を連結し、有機溶媒への溶解性を向上させた。この末端修飾SWNTとC60とをoージクロロベンゼンに溶解後、アセトニトリルを急速注入することで両者を複合クラスター化し、泳動電着法を用いてFTO/Sn02上に薄膜化した。得られた修飾電極の光電気化学特性を検討した結果、参照系であるSWNT、またはC60のみからなるクラスターを修飾した酸化スズ電極と比較し、外部量子収率(IPCE値)に大きな向上が見られ、最大で18%にまで達した。また、電子顕微鏡による電着膜の表面構造観察などから、SWNT上でのC60の配列が光電変換特性の向上に大きく寄与していることが示唆された。つまり、SWNT上でC60同士が密に付着しているため、クラスター間での電子移動を妨げる原因となる粒子境界での失活を受けることなく電子が移動できると考えられる。さらに、高次フラーレンC70およびC84を用いて、同様にSWNTとの複合化およびその薄膜化を行った。その光電気化学測定を行ったところ、IPCE値は、C70を用いた系では最大で26%にまで達した。これは、C70の良好な光捕集性および、f-SWNT側壁に付着したC70による高効率電子輸送が大きく寄与していると考えられる。一方、C84クラスターを電着した修飾電極では、光電流発生が小さく、IPCE値は最大でも5%程度であった。この原因として、C84の還元電位がC70に比べて0.1V程低いため、C84ラジカルアニオンから酸化スズ伝導帯への電子注入効率が低いことが挙げられる。
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Chemistry, -A European Journal 14
ページ: 4875-4885
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http://www.moleng.kyoto-u.ac.jp/~moleng_05/umeyama_paper.html