疎液性相互作用を利用した複合化手法により、C_<70>やC_<84>などの高次フラーレンと可溶化単層カーボンナノチューブ(f-SWNT)の複合体を作製したところ、C_<60>の場合とは対照的に、f-SWNTにC_<70>あるいはC_<84>が付着した複合クラスターを選択的に形成していることがわかった。さらに、C_<70>とf-SWNTの複合体を泳動電着により酸化スズ電極上に薄膜化し、湿式三極系セルにて光電流発生の作用スペクトルを測定したところ、26%(400nm)の高い外部量子収率を達成した。これは、これまでに報告されているナノチューブを泳動電着や静電的相互作用などにより薄膜化した修飾電極を用いた系の中で、最高の光電流発生効率を示している。 さらに、このフラーレンとf-SWNT複合体に、高い光捕集能と電子供与性を併せ持つポルフィリンを導入することを目指し、フラーレンとポルフィリンが共有結合で連結されたダイアド分子(H_2P-C_<60>)とf-SWNTの複合薄膜形成を行った。ここで、H_2P-C_<60>はそれ自身同士での凝集性が高く、疎液性相互作用によりH_2P-C_<60>の微結晶が形成され、その上からf-SWNTが付着した形状の複合体が得られた。さらに、その複合体により修飾された半導体電極の光電流発生効率を測定したところ、f-SWNTとH_2P-C_<60>の複合体修飾電極では、H_2P-C_<60>単体の修飾電極の約2倍の22%にまで外部量子収率が向上した。H_2P-C_<60>のクラスター間をf-SWNTが結ぶことで、クラスター間での電子輸送およびクラスターから酸化スズ電極までの電子輸送が効率的に行われることで光電流発生効率が向上したと考えられる。
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