研究課題
平成21年度は太陽光を捕捉する能力を高めるために、紫外光を吸収し、かつ励起寿命の伸長につながる芳香族クロモフォアを可視光捕捉ユニットであるルテニウムポリピリジルユニットに導入したバイクロモフォア錯体の合成とその物性調査、および、反応性の調査を進めた。ナフタレンをルテニウムポリピリジルユニットに直接連結したバイクロモフォアユニットをもつパラジウム錯体は、蛍光寿命が、対応するユニクロモフォア錯体に比べて約10倍程度伸長し、室温で約1マイクロ秒もの長寿命を持つ励起種を含むことを見出した。この錯体を用いてスチレン類との反応を試みたところ、紫外光、可視光いずれの光を用いても反応は進行した。ユニクロモフォア錯体とスチレン類との反応は、可視光照射条件下で二量体が主成分となるが、バイクロモフォア錯体を触媒に用いると、二量体はほとんど生成せず、スチレンポリマーが生成した。反応系中における長寿命種の寄与が高く、b-水素脱離が起こる前に挿入反応が促進されるためにポリマーが生成するものと考えている。
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Chemistry, A European Journal (in press)
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