研究概要 |
ニトロソアミン類は強い発がん性を持つことで良く知られる物質である. 近年, このニトロソアミン類が水の塩素消毒副生成物として発生することが確認され新たな問題となっている. 数pptレベルの測定感度が要求されるため, 現在の測定法では高濃縮が必要で測定法が非常に煩雑である. そこでニトロソアミン類の新規高感度検出法について研究を進めた. 昨年度の研究から検出感度を大幅(100倍程度)に向上することができ, HPLCと開発した検出法を組み合わせることで数pptレベルのニトロソアミン類を水試料から直接測定することが可能となった. 開発した分析法を用い様々な水試料を測定したところ, 河川水や工場排水において数十pptレベルのN-nitrosodimethylamineやN-nitrosomorpholineの存在が確認できた. しかしながら, 特に高いニトロソアミン発生が予測された畜産排水試料においては高濃度で共存する硝酸イオンなどの妨害を受け測定することが出来なかった. これらの試料の前処理については今後検討の余地がある. また硝酸イオン, 亜硝酸イオンが開発した検出法で高感度検出可能であったことから, イオンクロマトグラフィーと開発した検出法を組み合わせることで硝酸イオン・亜硝酸イオンの選択的高感度検出法を開発した.
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