本研究では、物質固有の磁化率と密度の違いにより複数の物質が同時に高速かつ高効率で分離できる磁気アルキメデス分離の原理に基づき、医療分析にも適用可能な多成分同時定量分析手法の開発を目指している。平成19年度は、分離のための基材物質となる材料の検討、および、より効率的な分離を実現するための磁場分布の検討、および、磁場中での観測手法についての検討を行なった。基材物質としては、表面の化学処理が可能で、微粒子化できる物質について調査し、いくつかの材料について磁化率、および密度等の測定を行なった。無機材料または高分子材料をベースに、いくらかの金属等を含有させることによって浮上位置の異なる組み合わせを得ようとした。その結果、配合割合の制御のみでは分離が不十分な場合が多いこと、組み合わせの異なる物質を使用するほうが有利であることがわかった。空間磁場分布に関しては、同一平面内でより均一な磁場を得る方法について、超伝導磁石による磁場空間内に磁性体を配置し、その大きさや位置を変化させることで制御する手法について検討した。その結果、磁性体の形状次第で容易に制御可能なこと、広い空間の磁場を制御するには、単純な形状では難しいことがが明らかとなった。また、周囲媒体中に浮上分離した複数の基材物質表面に付着した被分析試料を定量分析するための評価手法について、アタッチメントを試作し、現在、光学的な手法を中心に検討を進めている。
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