昨年度は、複数のターゲット遺伝子を対象としたセンサアレイの作製を目指し、開発した遺伝子プローブをマルチ電極上に固定し、遺伝子センサアレイチップの研究開発を行った。再現性の高いデータを効率的に収集するため、スパッタ成膜法によりガラス基板上に金薄膜を作製し光リソグラフィーの手法を用いることにより、マイクロ電極アレイを作製した。このマイクロ電極表面上に複数種類の遺伝子プローブを固定するため、キャピラリーに基づくピッチ可変型の高集積アレイスポット技術を別途開発し、1mm間隔に配列した96ch遺伝子センサアレイチップを作製することができた。これに基づき、異なるターゲットDNAを対象とする遺伝子プローブに基づくセンサを作製し、配列選択的にDNAを電気化学検出することに成功した。本研究の遺伝子プローブのように合成プローブに基づく電気化学遺伝子センサは、従来適切なプローブ固定化技術が未熟であるため高集積に作製することがボトルネックとなり、従ってセンサアレイチップ化が困難であった。今回、高集積アレイスポット技術を開発することで、従来の蛍光を利用したDNAマイクロアレイ法に対抗しうる電気化学遺伝子センサアレイの作製への道が開けたものと考えられ、本研究成果の意義は大変大きい。
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