研究概要 |
本研究では、触媒的不斉合成反応において効率的に機能するケイ素カチオン種の創製を行う。その目的達成のためにトリス(オクタヒドロアントリル)シリルカチオン骨格を基盤として検討を行った。研究期間内に行う具体的な項目として、(1)基本骨格であるトリス(オクタヒドロアントリル)シリルカチオン種の合成(2)オクタヒドロアントリル環上への不斉中心の導入、それによるヘリシティーの制御(3)不斉中心を導入したシリルカチオン種の触媒反応への適用(内部誘導型触媒反応)(4)外部導入分子の配位によるヘリシティーの制御(5)キラル分子の配位を利用した触媒反応への適用(外部誘導型触媒反応)を計画した。 今年度は、予備的検討としてナフチル骨格を用いて合成経路を検証した。ケイ素カチオン種の生成は^<29>Si NMRにより確認されるまた、不斉中心の導入、それによるヘリシティーの制御の方策として以下の方法を立案して検討した。 1,8位の不斉中心の導入はカルボニル基の触媒的不斉水素化反応を起点に、2,7位の不斉中心はEndersらのSAMP/RAMPヒドラゾンを用いるα-アルキル化反応などを起点とする。合成したケイ素カチオン種単体の状態および反応基質分子が配位した状態のそれぞれについて、オクタヒドロアントリル骨格のP/Mヘリシティーの比およびそのラセミ化平衡の有無を温度可変NMR測定により確認する。この結果を導入する置換基の選択にフィードバックする。
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