研究課題
本研究では、触媒的不斉合成反応において効率的に機能するケイ素カチオン種の創製を行うことを目的とした。今年度は、規整表面上に設計を施した分子を集積させることにより特異な触媒反応場を構築できることを見いだしたので、ケイ素カチオン種への適用を可能にすべく、一般性を確立する検討を重点的に行った。その結果、コンパクトな活性中心の周りに別のユニット分子が近接する集積場を構築すれば、反応基質の特異な選択性を発現する触媒反応場の形成が可能であることが示された。このことは本研究で提案するトリス(オクタヒドロアントリル)シリルカチオン骨格を基盤とする不斉反応場の構築において近接キラリティー誘導分子の導入による制御が可能であることを示唆する結果である。また、ケイ素カチオン種の精密固定化手法の基礎的な検討としてメソポーラスシリカ表面上でのケイ素種による修飾手法を精査した。特に、修飾量の定量など有機修飾に関する詳細な知見を得ることは重要であると言えるが、修飾量の定量を詳細に検討した報告例はこれまでにほとんどない。固体MRなどの各種測定手法を組み合わせることにより、これらの有機修飾についての定量的な知見を得ることに成功した。さらに、内表面と外表面を区別したシリル基修飾および構造決定を可能にする手法についても同時に確立した。以上の今年度の研究成果により、精密な分子設計に基づいた効率的かつ特異な立体選択性を発現するケイ素カチオン種触媒を創成するための基礎的手法が確立した。
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