研究概要 |
金属シートと炭素シートを、層状に積み重ねた「炭素-金属」積層構造は、グラファイト層間化合物などの重要な材料内に形成されると考えられている。しかし、既存の化学合成法を用いてこのような積層構造を分子内に構築することは困難であった。本研究者は、最近、金属シートが炭素シートに挟み込まれた構造を持つサンドイッチ化合物を初めて合成することに成功している(Science, 2006, 313, 1104)。本研究では、この新しく見いだした金属シートサンドイッチ化合物の基本的性質を解明しようとするものである。 平成19年度に引き続き、新型の3核サンドイッチ型錯体の反応性研究をおこなった結果、シクロヘプタトリエニル、およびシクロヘプタトリエンパラジウム3核錯体を1電子還元することにより、Pd-Pd結合を生じることにより2分子のPd_3骨格がカップリングし、新たにビトライアングル型6核クラスターが生じることを明らかにした。生成したシクロヘプタトリエニル、およびシクロヘプタトリエン6核錯体は、各種NMR分析、元素分析、およびX線構造解析により決定した。
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