研究概要 |
これまでに酵素反応による糖ペプチドや配糖体の糖鎖合成反応は究めて多く報告されているが、高分子、界面、糖脂質への配糖化は困難であった。それは、酵素がタンパク質でできているためであり、界面付近での酵素の失活や基質への近接不可能、さらに、基質可溶化のための有機溶媒等の添加による変性が原因としで挙げられる。従って、これら特異的な環境に特化した酵素反応の反応場のデザインをする必要性があった。以上の間題点を解決するに辺り、平成19年度は以下の項目こついて検討した。 1.アマドリ転位反応の促進因子の探索 これまでの予備的な研究成果から、アマドリ転位反応の促進因子としてリン酸が優れていることが明らかになっている。これまで、アマドリ化に2週間程度必要であることから、1日程度に短縮できるような促進因子の探索を行った。しかしながら十分に促進する要因は見いだせなかった。そのため、リン酸をアマドリ転位の促進因子として用い、各種アマドリ化ペプチドを合成し、次項の反応に用いた。 2.アマドリ化糖アクセプターの酵素認識性の検討 アマドリ化した糖脂質または糖ペプチドに対して、3種類の糖加水分解酵素を作用させ,反応生成物をMALDI-TOF MSで解析したところ、所望の糖脂質の生成が確認できた。従って、アマドリ化糖の構造は、酵素の認識性に大きく影響しないことが明らかになった。現在までのところ、生成物の効率的な分離方法が確立していないことから、レクチンカラム、ボロン酸カラム等を駆使して、生成物の構造解析などを進めていく。 3.今後の展望 アマドリ転位反応は、未知なところが多いことを再確認したことから、アマドリ転位反応マップを作成し、その最適化を図りたい。
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