本研究の目的は、高度な分子認識能を有する含硫黄芳香族オリゴマー類の開発と機能性分子素子への展開である。具体的には、新規な含硫黄芳香族オリゴマー類を合成し、金属錯体の調製および触媒能の調査、そして有機分子との錯形成能の評価を行う。特に、架橋硫黄をスルフィニル基へ酸化することによって簡便にキラリティーを導入することができる。そこで、得られた光学活性オリゴフェノール誘導体を不斉触媒、光学分割剤およびキラルセンサーへ展開する。また、スルホニル誘導体はオリゴマー主鎖の構造変化をUV、CDあるいは発光スペクトルで直接観測することが可能であることから、新規な分子プローブとして機能性光学素子へ展開する。さらに、金属ならびに有機分子との錯形成を用いた超分子複合体の形成を視野に入れ、錯体触媒化学、分子認識化学の観点から人工酵素の実現を目指す。
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