1. 単一TiO_2ナノ粒子の発光観察 光触媒活性を単一粒子レベルで評価する手法の開発を目指し、TiO_2ナノ粒子の光励起による欠陥発光の検出を行った。球状のTiO_2ナノ粒子を合成し、405nmレーザー励起による欠陥発光の単一粒子レベルで観察した。アルゴン雰囲気下で光照射を行うことにより、著しい輝点の増加が観測された。この発光は、酸素濃度の増加に伴い、数秒以内に消光することがわかった。スペクトル測定及び反応速度式による定量的解析から、観測された発光はTiO_2ナノ粒子表面に捕捉された電子に起因していることが明らかになった。 2. TiO_2ナノチューブにおける光触媒反応の単一分子蛍光観察 一次元構造を有するTiO_2-DNAナノ複合体の構築へ向けて、TiO_2ナノチューブにおける光触媒反応の単一分子蛍光観察を行った。TiO_2ナノチューブはポーラスアルミナ膜をテンプレート法によって合成した。TiO_2ナノチューブを固定化した観察用フローセルを作製し、ヒドロキシルラジカル(OH)検出蛍光プローブ(アミノフェニル置換フルオレセイン化合物(APF))を含むバッファー溶液を流入することにより、個々のナノチューブ内での光触媒反応を単一チューブレベルで蛍光観察を行った。TiO_2ナノチューブに紫外光を照射することにより、活性酸素種であるOHとAPFとの反応によって生成したフルオレセインの単一分子蛍光を観測した。フルオレセイン生成の時間・空間分布解析からTiO_2ナノチューブ上における反応サイトの分布を明らかにすることに成功した。 3. その他半導体量子ドット、金ナノ粒子、金クラスターなどに関する研究を行い、学術論文として発表した。いずれも本研究課題と密接に関連した研究である。
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