研究課題
磁性ナノ粒子は、粒子サイズのナノサイズ化による単一磁区構造形成によって超常磁性を示すが、その磁気挙動は実は多彩であり、ナノ粒子の表面構造の非周期性などの構造欠陥を考慮した解釈が必要となる。また、表面部分(シェル)と構造周期性を有する中心部分(コア)との間には界面構造が存在し、それがバイアス効果として磁気特性に大きな影響を及ぼす。本研究は、磁性ナノ粒子の表面構造および粒子内界面構造を静水圧力印加によって連続的かつ人為的に制御し、それらの基礎物理情報を収集することを目的とするものである。平成19年度は、コアが磁性の主要因であるフェリ磁性型マグヘマイト(γ相 Fe_2O_3)ナノ粒子に対して、磁気測定・構造解析実験をいくつかの粒径に対して系統的に行った。そこで、4kbar程度の加圧による一時的なコアの収縮が起こることを発見し、それは5nmと15nmの両方で観測された。これは、磁性ナノ粒子の磁気特性が、粒子表面ヘストレスを印加することで制御できることを示すものである。これまで、系統的合成に頼ってきた磁性ナノ粒子研究において、本研究のような研究方法の有効性が実験的に証明されたことは物質科学的に非常に意義深いことである。また、反強磁性型である低結晶性の鉄(Fe^<3+>)水酸化化合物の物質群においても、高圧下磁気測定を行い、マグヘマイトと異なる圧力効果を観測するに至っている。これは、磁性ナノ粒子の種類によって、圧力効果が異なることを示唆するものであり、今後、計画的な物質選択と高圧物性実験によって、磁性ナノ粒子の基礎物理情報が整理されることが期待される。
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