研究概要 |
亜鉛ポルフィリン構造をコアに有する第4世代のフェニルアゾメチンデンドリマーを電子ドナーとして、コアの光励起による種々のアクセプター分子との光誘起電子移動をレーザーフラッシュフオトリシス法によって観測した。 2,6-ジクロロペンソキノン、3,5-ビス-tert-ブチルフェニルナフタレンジイミドそれぞれのアクセプターについて、電荷分離および再結合反応各々の反応速度定数を見積もった。反応速度の世代数(デンドリマー)に対する変遷を調べたところ、デンドリマーのシェルが、再結合を効果的に抑制している一方で、電荷分離に対しては減速効果を殆ど示さないことを明らかにした。このことは、以前までに報告されている長寿命、高効率な電荷分離状態の形成の裏付けとなる成果である。 この原理を用いた更なる長寿命な電荷分離実現に向けて、より高世代のデンドリマー合成に挑戦した。従来のコアでは大きな立体障害が原因となり、第5世代以上のデンドリマーは合成することができない。そこで、コアとデンドロンとの間にフェニル基をスペーサーとして差し込んだところ予想通り第5世代のデンドリマー合成に成功した。これを電荷分離反応へと応用すると室温下において10msの電荷分離寿命が達成できることを示した。さらに溶媒系をより低極性なベンゼンへと変更することによってさらに長寿命化か可能であることを突き止めている。正確な寿命の評価については現在検討中である。
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