本研究では、新規ナノ複合素材の作成を目的として、ポリマーナノチューブ内にフラーレンやマグネタイトナノ粒子といったナノマテリアルを導入したピーポットの作成について検討した。まず、電解重合能を有するチオフェンを主骨格としたethylenedioxythiophene(EDOT)及びcyclohexane-dioxythiophene(CDOT)をテンプレートであるポーラスアルミナ細孔内で電解重合し、EDOTポリマーナノチューブ(EDOT-PNT)及びCDOTポリマーナノチューブ(CDOT-PNT)を合成した。その後、合成したポリマーナノチューブにマグネタイトナノ粒子やフラーレンの溶液を物理的に流し込むという非常に簡易な方法を用いて、ポリマーナノチューブヘナノマテリアルの導入を行った。次いで、1N-NaOH水溶液を用いてポーラスアルミナの除去を行った後、ポリマーナノチューブの透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)走査透過型電子顕微鏡(STEM)観察やRaman測定、cyclic voltammetry(CV)測定、UV-vis測定を行い、ポリマーナノチューブ内にマグネタイトナノ粒子及びフラーレンが導入されていることを確認した。マグネタイトナノ粒子を内包したポリマーナノチューブにおいては、マグネタイトナノ粒子が内包環境においても安定的にその性質を保持し、外部磁場との間で吸引的な相互作用を示すことを確認した。本研究成果により、さまざまなナノマテリアルを複合した新規な機能性ポリマーナノチューブの簡便な合成手法が確立された。
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