長鎖アルキル基を導入したフラーレン誘導体は、有機溶媒中にてフラーレン間のπ-π、アルキル鎖間のvan der waals相互作用のコントラストにより、両親媒性分子として働く。この分子間相互作用を精密に制御することで、表面にナノサイズのフレーク構造を有すマイクロ微粒子組織体を作成できる。このマイクロ微粒子のナノフレーク表面構造上に金属をスパッタ被覆し、クロロホルムへの浸漬、フラーレン誘導体の除去により、ナノフレークモルフォロジーが構造転写された金属ナノフレーク構造の創製に成功した。さらには、有機単分子膜被覆により、超撥水から超親水までの表面濡れ性制御、ならびに表面増強ラマン活性基板としての用途も示すことができた。 ここで用いている長鎖アルキル基を導入したフラーレン誘導体が、サーモトロピック液晶性を示すことを見出した。この素材は、フラーレン含有率約50%を保ち、かつフラーレンの電子物性(多段階酸化還元応答、有機n型半導体性)を示す特徴を持つ。 アルキル長鎖内部にジアセチレン部位を導入した新規フラーレン誘導体を分子設計・合成した。その三次元組織構造化を行い、フレーク状マイクロ微粒子を得た。この組織表面は超撥水性を示すが、そのままでは機械的強度は乏しく、環境耐性も高いとは言い難い。この組識体表面を紫外光照射することにより、フラーレン間およびジアセチレン間の光重合反応が起こり、機械的強度の増加(25倍)、環境耐性の向上(熱耐性(200℃)、各種溶媒耐性、酸・塩基耐性)を兼ね備えた超撥水素材の構築に成功した。
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