本研究は、骨再生用担体材料(リン酸オクタカルシウム ; OCP)の開発およびOCPと遺伝子導入法を一体化することにより、これまでにない迅速で安全性の高い新規骨再生遺伝子治療法の開発を行うことを目的とする。今年度は、in vivoに適応するために骨再生能の向上および形態付与性を考慮して、OCPとアテロコラーゲンを複合化したOCP/Collagen担体を作製した。また、担体表面に特異的に吸着するナノ粒子の検討を行った。現在までに直径100mm程度のナノ粒子の作製に成功し、担体への吸着法を確立した。今後、培養細胞に対して遺伝子導入の効果を検討していく予定である。この粒子作製とCaP結合性について学会発表を行い、現在論文投稿中である。また、今年度はOCP及びOCP/Collagen担体の骨再生担体としての基礎的知見を得ることができた。OCPとCollagenの混合比を種々の割合で変化させた担体材料を作製した。この担体をラット頭蓋冠に作製した自然には再生しない規格化骨欠損へと埋入し、骨再生能の比較を行った。その結果、担体中のOCPの割合が多い方がより高い骨形成能を示すことがわかった。この成果によりin vivoにおけるOCPの骨再生促進のメカニズムにおける一端を解明することができ、骨再生担体としての最適化を行うことができた。これらの結果についてはTissue Engineering誌へ投稿し受理されている。
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