平成20年度においては、安定なヘリカルペプチドを構築する手法をもとに開発した機能性ペプチドを用いて研究を展開した。 安定なヘリックス構造を有する機能性ペプチドとして、以下に示す三種類の短鎖ペプチドを用いた。 (1) 酸化還元活性種であるフェロセンを骨格とするクロスリンク剤で架橋した短鎖ペプチド(The Journal of Organic Chemistryに掲載) (2) 光異性化色素であるジアリールエテンを骨格とするクロスリンク剤で架橋した短鎖ペプチド(学会発表) (3) アミノ末端側を蛍光色素でラベル化した架橋短鎖ペプチド(学会発表) (1) においては、クロスリンク剤によるヘリックス構造の制御に加えて、フェロセンを骨格とする非天然アミノ酸を開発し、フェロセンを主鎖に導入したペプチドの合成に成功した。今後、フェロセン導入ペプチドを基板に固定化してチップ化する予定である。(2)・(3)においては、DNAと相互作用するタンパクのα-ヘリックス領域をもとにこれら架橋ペプチドを合成し、DNAとの相互作用を評価した。前者では、ジアリールエテン架橋ペプチドとDNAとの相互作用を光照射によって制御することに成功した。後者では、DNAとの相互作用を蛍光偏光スペクトルで解析し、その結果架橋ペプチドが非架橋ペプチドに比べてDNAと非常に強く相互作用することが明らかとなった。
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