平成20年度は、プロピオン酸欠損補因子を含むヘムオキシゲナーゼの結晶構造解析の結果について、より詳細な解析を行った。その結果、ヘムプロピオン酸の位置の違いにより、ヘムのタンパク質への取り込まれ方に差違があることが判明した。このことは、ヘムオキシゲナーゼの触媒機構における第一段階において、位置選択的に酸化的分解が起こるメカニズムを明確にする有用なデータである。さらに、ヘムオキシゲナーゼによるポルフイセン分解生成物の同定を行うために、NADPH-CPR還元系による反応を実施し、反応生成物のLC-MS分析を試みた。しかし、複数の酸化分解生成物の存在を示唆する結果が得ちれ、当初の予想に反して、複雑な反応機構の進行が示された。また、コロール鉄錯体のヘムオキシゲナーギへの取り込みも観測し、UV-VISスペクトルにおいてミオグロビンとは異なる挙動を示した。このことは、タンパク質マトリクス環境の違いが補因子内の鉄への配位挙動に影響を与えていることを示している。
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