研究概要 |
私はこれまでに、主鎖骨格中に水溶性の高いエーテル結合を含んだペプチド核酸(Pyrrolidine-based Oxy-Peptide Nucleic Acid=POPNA)や第三級アミンを含んだペプチド核酸(Pyrrolidine-based Amino-Peptide Nucleic Acid=PAPNA)を開発してきた。特に、POPNAオリゴマー中にPAPNAユニットを含めた新規ペプチド核酸オリゴマー(PAPNA-POPNAオリゴマー)は単独で細胞内に導入できることもこれまでに報告してきた。今年度は特定のマイクロRNA(miRNA)の配列を標的としたPAPNA-POPNAオリゴマーを作製し、そのハイブリッドの形成について検討した。まず、miRNAであるmiR16およびlet-7aに対して相補的な配列から成るPAPNA-POPNAオリゴマーをペプチド固相合成法により作製した(miR16 : CGCCAATATT, let-7a : CTACTACCTC, 下線の部分はPAPNAモノマーユニットを示す)。これらはMALDI-TOF Massから同定した。これらのPAPNA-POPNAオリゴマーと相補的なRNAまたはDNAとを混合し、UV融解曲線からハイブリッド形成について調べた。その結果、PAPNA-POPNAオリゴマーとそれらに相補的なRNAまたはDNAとの混合溶液からシグモイド状の曲線は確認できなかった。これまでの結果とも合わせ、考察したところ、PAPNA-POPNAオリゴマーはピリミジン塩基が非常に豊富な配列に対してはDNAやRNAと相補的なハイブリッドが形成できるが、一般的な配列とは相補的なハイブリッドを形成しがたいということが明らかとなった。
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