• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2007 年度 実績報告書

ヘムオキシゲナーゼ-1によるヘム分解機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19750150
研究機関久留米大学

研究代表者

佐藤 秀明  久留米大学, 医学部, 講師 (60271996)

キーワード酵素反応 / 生物物理 / 生体分子 / ヘム代謝 / 酸化還元電位
研究概要

ヘムオキシゲナーゼ(HO)は,NADPH-シトクロムP450還元酵素(CPR)から電子の供給を受け,多段階の酸素原子添加反応により基質ヘムをビリベルジンと鉄イオン,一酸化炭素へと分解する酵素である。近年の酵素反応解析や結晶構造解析の進展にも関わらず,HOによるヘム分解機構には未解明な点が残る。本研究では,ヘム分解の途中段階である「ベルドヘム開環過程」の詳細なメカニズムについて,分光学的および電気化学的手法により検討した。考えられるベルドヘム開環過程の機構としては,ベルドヘムの鉄上でのO_2の活性化,もしくは,ベルドヘムのオキサポルフィリン環へのO_2のラジカル付加によって生じるオキソ架橋の開裂が挙げられる。特に後者では,ベルドヘムのオキサポルフィリン環が一電子還元されたπ-中性ラジカル体が,中間体として関与する可能性が示唆されてきた。これを検証するため,嫌気条件下で鉄2価ベルドヘムとラットHO-1の複合体を調製し,電気化学的に還元を行なって,環が還元されたラジカル体が生成するか否かを紫外可視吸収スペクトルにより調べた。各電位における複合体の吸収スペクトルを測定したところベルドヘムπ-中性ラジカル体の生成が確認され,ネルンストプロット解析により,HO-1に結合した鉄2価ベルドヘムのオキサポルフィリン環に対する一電子還元反応の還元電位として-0.47Vvs.NHEを得た。しかしながら,この値はCPRの補欠分子族FMN,FADや補酵素NADPHの酸化還元電位よりも0.1V以上低いことから,HO-1に結合した鉄2価ベルドヘムの環のNADPH/CPR系による還元は熱力学的に起こりにくいことが明らかとなった。すなわち,生理的条件下におけるHOによる鉄2価ベルドヘムの開環は,オキサポルフィリン環の一電子還元ではなく,中心の鉄へのO_2の結合により開始することが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Mass Spectrometric Identification of Lysine Residues of Heme Oxygenase-1 That Are Involved in Its Interaction with NADPH-Cytochrome P450 Reductase2008

    • 著者名/発表者名
      Yuichiro Higashimoto, Masakazu Sugishima, Hideaki Sato, Hiroshi Sakamoto, Keiichi Fukuyama, Graham Palmer, Masato Noguchi
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications 367

      ページ: 852-858

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Electrochemical Reduction of Ferrous α-Verdoheme in Complex with Heme Oxygenase-12007

    • 著者名/発表者名
      Hideaki Sato, Yuichiro Higashimoto, Hiroshi Sakamoto, Masakazu Sugishima, Kenichi Takahashi, Graham Palmer, Masato Noguchi
    • 雑誌名

      Journal of Inorganic Biochemistry 101

      ページ: 1394-1399

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Supramolecular Hemoprotein Linear Assembly by Successive Interprotein Heme-Heme Pocket Interactions2007

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Kitagishi, Koji Oohora, Hiroyasu Yamaguchi, Hideaki Sato, Takashi Matsuo, Akira Harada, Takashi Hayashi
    • 雑誌名

      Journal of the American Chemical Society 129

      ページ: 10326-10327

    • 査読あり
  • [学会発表] α-ベルドヘムーラットヘムオキシゲナーゼー1複合体の電気化学的還元(Electrochemical Reduction of Ferrous α-Verdoheme-Rat Heme Oxygenase-1 Complex)2007

    • 著者名/発表者名
      佐藤秀明, 東元祐一郎, 坂本寛, 野口正人
    • 学会等名
      第30回日本分子生物学会年会・第80回日本生化学会大会合同大会(BMB2007)
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2007-12-11
  • [学会発表] FMN欠失NADPH-シトクロムP450還元酵素を用いたヘムオキシゲナーゼ反応における電子授受機構の検討2007

    • 著者名/発表者名
      東元祐一郎, 佐藤秀明, 杉島正一, 坂本寛, 野口正人
    • 学会等名
      第7回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      仙台市
    • 年月日
      2007-05-25
  • [学会発表] ベルドヘムーヘムオキシゲナーゼ複合体の電気化学的還元2007

    • 著者名/発表者名
      佐藤秀明, 東元祐一郎, 坂本寛, 野口正人
    • 学会等名
      平成19年度日本生化学会九州支部例会
    • 発表場所
      宮崎市
    • 年月日
      2007-05-19

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi