本年度は、金属-金属電荷移動遷移(MMCT)の光学特性に着目したヘテロ2核金属からなる無機分子光触媒材料について検討を行った。メソポーラスシリカ細孔内に合成したTi(IV)-O-Ce(III)/SiO_2は、可視光域にMMCT由来の強い吸収を持つこと、そして有機物の光酸化分解反応に対して可視光応答性を示すことを見出した。その光活性は、現在報告されている環境浄化用光触媒として最大活性を示すNitrogen-doped TiO_2と比較して、5倍以上の高い量子収率を示した。また、これらの成果を踏まえたうえで、多電子移動触媒(人工酵素)との連結による光エネルギー変換反応への展開も推し進めてきた。ここでは、新たに原子レベルで構造制御された6核(または12核)金属酸化物クラスターを合成し、それをMMCT光材料に組み込むことで"金属-クラスター"における光誘起電荷移動が現れることを世界で初めて実証した。
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