研究概要 |
近年, 光通信用あるいは液晶表示用素子として, レンズを小さく二次元あるいは積層したマイクロレンズアレイおよびそれらを用いる並列型光デバイスの需要が日々増大しており, 簡便かつ安価な作製手法の開発が望まれている。 最近, オリゴチオフェン誘導体および液晶性ホストに加えて重合性モノマーからなる系において, 一光束で光配向変化と配向固定化できる平板凸型マイクロレンズの作製に成功し, 任意の偏波面で自在に配列した平板マイクロレンズアレイを作製した。しかしながら, 実際の光素子への応用展開を見据えた場合, 凸レンズだけでは補正できない収差や高度な光学系構築の観点から, 凹型マイクロレンズの開発は急務である。本研究では光で効率よく配向変化できる様々なπ共役系色素を合成し, 一光束照射という簡便な手へ法で平板凹型液晶マイクロレンズを作製することを目的とする。 本年度は, 昨年度に引き続き, 液晶凹レンズの作製を目指した。π共役系色素として, 色々なオキサゾール誘導体やオリゴチオフェン誘導体を合成した。共役鎖長を短くした誘導体は可視光領域に吸収体がなく, 液晶性を示すことから, 光照射で無色液晶レンズを作製できることがわかった。また, 光を照射し続けながら, 照射サンプルステージを移動させると簡便にシリンドリカルレンズを形成できた。さらに, 光の照射領域間隔を狭めることにより液晶の配向分布を連続的に制御し制御し, 屈折率分布を反転させた凹レンズを調製できることを示した。
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