研究概要 |
<具体的内容>宮崎らは,コロイド粒子が2層に積層された時にのみ特異的に高い効率で光が回折される現象を発見した(Miyazaki, H. T., et al. Appl. Phys. Lett. 83,366(2003))。その回折効率は55%にも達し,実用的な回折格子値に匹敵する.だが宮崎らがこの特異的回折現象を観察したのは,わずか数個の粒子でできたクラスタにおいてであった。申請者は自己集積を利用して微粒子を層状に積層する技術を有しており、大規模な層状微粒子結晶を短時間で作製することができる。そこで本研究では、宮崎先生を協力研究者として種々の粒径での2層コロイド結晶の作製品質の向上を行い、本特異的光回折の波長依存を評価し、本現象の実用的なデバイスへの展開を目的としている。 本年は申請どおり、1)自己集積を利用して大規模な層状微粒子結晶を作製し、2)上記特異的光学特性を検討する装置を立ち上げ、3)自己集積材料でも高い回折効率を得ることができ、4)本現象が微粒子2層においてのみ発現すること、を示すことができた。 <意義>本研究は、現在数多く行われている多層コロイド結晶の光学特性研究(厚いほど光学効果が強まる)とは異なり、球状微粒子2層という厚み約1-10 micro mの薄膜内でおきる特異的光回折効果を迅速かつ簡便な自己集積方法で作製したデバイスによって検討する点が学術的な特色であり独創的であり、球状微粒子を扱うコロイド結晶分野に大きなインパクトを与えると考えられる。 <重要性>今年度得られた結果は、微粒子自己集積材料が既存の回折格子にとって代わることができることを示す、具体的な実用化の手がかりとなる重要なものである。
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