研究概要 |
近年、光の波長程度の周期的な誘電率変化を持つ構造が、フォトニック結晶として知られるようになった。特に球状粒子を自己集積させて作製したコロイド結晶は、その作製方法の簡便性などから、一大研究分野を形成するに至っている。こうした中で宮崎らは, コロイド粒子が2層に積層された時にのみ特異的に高い効率で光が回折される現象を発見した。その回折効率は55%にも達し, 実用的な回折格子値に匹敵する. しかしながら宮崎らがこの特異的回折現象を観察したのは, わずか数個の粒子でできたクラスタにおいてであった。クラスタの作製方法には電子顕微鏡内のマイクロマニピュレーションを利用しており、一つのクラスタを作製するのに数時間を有する。一方、申請者は自己集積を利用して微粒子を層状に積層する技術を有しており、大規模な層状微粒子結晶を短時間で作製することができる。本申請研究では種々の粒径での2層コロイド結晶の作製品質の向上を行い、本特異的光回折の波長依存を評価し、本現象を実用的なデバイスに展開できるかを検討した。その結果、S・P偏光ともに、55%を越える回折効率を得ることができた。
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