らせん状ルテニウム化合物/有機分子ナノ複合体ナノチューブの合成条件の最適化のため、反応条件や添加剤の効果などについて検討したところ、反応溶液の均一性の向上や適度なエージング時間がらせん状形態の収率の向上に大きく寄与することがわかった。また、ナノ複合体ナノチューブを空気中300℃で熱処理した試料を室温下で水素ガスと接触させるだけで金属Ruナノチューブへと変換できることがわかった。また、ナノ複合体ナノチューブを真空下で700℃で熱処理するだけでも金属Ruナノチューブに変換できることがわかった。 チタン、ステンレス、Co-Cr合金板上へのチタン酸ナトリウムナノチューブ薄膜の形成を試み、それぞれの基板上でナノチューブ薄膜が生成することを確認した。また、チタン及びCo-Cr合金板状で生成する薄膜は比較的平滑であったのに対して、ステンレス上で生成した薄膜には凹凸が見られ、薄膜の形状に基板依存性が見られた。これらの薄膜の組成を調べたところ、ステンレス及びCo-Cr合金基板上で生成したナノチューブにはこれらの基板から溶出したイオンが一部取り込まれたナノチューブが生成していることが示唆された。これらの抗菌性インプラントへの応用のために、チタン酸ナトリウムナノチューブ薄膜をチタン酸銀ナノチューブ薄膜に変換して抗菌特性を調べたところ、チタン酸銀ナノチューブ薄膜が抗菌性を示すことが確認された。また、これら薄膜のアパタイト形成能を調べたところ、チタン酸ナトリウムナノチューブ薄膜のみならずチタン酸銀ナノチューブ薄膜上でもアパタイトが形成されることが確認され、本研究成果を抗菌性人工関節へと応用できる可能性が示唆された。 また、新規セラミックスナノチューブの合成にも成功したが、現時点では収率に問題があるため、合成方法の再検討の必要性がある。
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