研究課題
本年度は、静電自己組織的析出(electrostatic self-assembly deposition)法や交互積層法(layer-by-layer法)により酸化チタンナノシートや酸化ニオブナノシートの層間に希土類イオンをインターカレートした新規な希土類含有層状酸化物を合成し、ナノシート層間希土類イオンの発光を光電気化学反応により制御する手法を開発した。希土類含有層状酸化物薄膜を形成したダイヤモンド電極に紫外光(260nm)を照射しながら電極電位を変化させると、酸化チタンナノシート層間のEu^<3+>の赤色発光は、-1.2V以上の電位では赤色発光が観察され、-1.2V以下の電位では赤色発光は観察されなかった。一方、酸化ニオブナノシート層間のTb^<3+>の緑発光は、-1.5V以上では緑発光が観察され、それ以下では発光は観察されなかった。このように、希土類含有層状酸化物薄膜電極の発光を光電気化学的に容易に制御(ON/OFF)することができた。このような発光の電位変化は以下のように考えることができる。カソード電位(フラットバンド電位よりも負電位)の場合、UV光照射下でナノシートの伝導帯に生成した電子はインターカレートされているEu^<3+>イオンに移動し、Eu^<3+>は発光を示さないEu^<2+>に還元させられる。アノード電位(フラットバンド電位よりも負電位)の場合、UV光照射下でナノシートの価電子帯に生成した正孔がEu^<2+>をEu^<3+>に酸化させる。その結果、ナノシートからEu^<3+>へのエネルギー移動に基づくEu^<3+>の発光が得られる。この電極にパルス電位を印加すると、パルス波形に応じてその発光を明瞭にON/OFFさせることに成功した。
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Angewandte Chemie, Intemational Edition 47
ページ: 2480-2483
Journal of the American Chemical Society 129
ページ: 8956-8957