直交二軸が独立に変形し、かつ、各軸方向の応力を測定できる機械を製作した。この機械は、延伸のためのチャックにアコーディオン構造を有しており、各軸共に試料の中央を通る垂線上は試料の移動がないようになっている。したがって、この装置の試料中央は延伸において試料の移動が起きない点となる。装置の試料中央部に直径3mmの穴をあけ、各種光源から光を入射できるように改良した。 この装置を用いてシリコン系架橋ゴム試料を延伸したところ、直交二軸方向に同速度で延伸した場合、両軸方向でほぼ同じ力が検出され、均一変形が起きた場合、装置が正常に動くことを確認した。 一方、ポリプロピレン、低密度および高密度ポリエチレンフィルムを試料として延伸した場合、一部のチャックから破損が進行してしまい、試料が均一に延伸されることはなかった。また、すでに二軸方向へ延伸された市販のフィルムを用いて測定したところ、破損を伴わず、均一に変形した。しかしながらその延伸倍率は小さく、装置を分光器に組み込んで測定できるほどの延伸時間は取れなかった。これらのことから、固体様でかつ破損を伴う試料においては各種分光法と組み合わせ、応カ-ひずみ挙動と分子レベルの構造解析を同時にその場で行うことは困難であると判断した。 次年度、200℃近くまで温度を上げることが可能な恒温層を自作し、均一変形をおこす実際の延伸工程と同様の温度雰囲気下での測定を目指す。
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