イミダゾリウムイオンの置換基の構造やカウンターアニオンの種類を変えた系に対して、種々の温度において誘電緩和測定を行った。測定は高周波数域(40GHz-20MHz)はネットワークアナライザ、中周波数域(3GHz-1MHz)はRF LCRメータ、低周波数域(60MHz-0.1Hz)はインピーダンスアナライザを用いた。構造情報が既知であるイミダゾリウムイオンをカチオンとするイオン液体に対し、緩和モードの物理的意味の考察を行う。誘電緩和時間の温度依存性から活性化エネルギーを求め、想定される運動モード(イオン液体の解離ダイナミクスと双極子の運動)について予想される活性化エネルギーとの比較を行った。系の動的性質は、電気的応答のみならず、力学的応答にも反映される。レオメーターを用いて、種々の温度で系の粘度を測定し、誘電データと比較した。上記の予備実験から得られた知見を元に、イオン液体を、電荷をもたない中性高分子に溶解させた系を調製した。このイオン液体/高分子モデル系について、上記と同様に誘電測定、粘弾性測定を行った。高分子のセグメントモードとイオン液体の運動モードに対して、両者の相互作用の詳細については検討中である。
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