天然多糖キチン・キトサンの物性を改変し、より使いやすい環境調和型高分子材料を創製することを意図して、キチン・キトサンおよびその誘導体を幹鎖、生分解性高分子であるポリ乳酸を枝鎖とするグラフト共重合体の合成を試みた。キチンまたはキトサンへのラクチドの開環グラフト共重合により、グラフト化物を得ることはできたが、枝鎖として導入されたラクチル基はわずかであり、顕著な物性改変はもたらされなかった。一方、キトサンを一旦フタロイル化したフタロイルキトサンを幹鎖とすると、比較的多数のラクチル基が枝鎖として導入され、これに伴い溶解性や熱物性等が変化することが明らかとなった。
|