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2009 年度 実績報告書

高熱電変換性能を有する高配向有機薄膜作製の基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 19760002
研究機関東北大学

研究代表者

林 慶  東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70360625)

キーワード有機分子
研究概要

本研究は有機薄膜の配向性を向上することで、高い熱電性能を得ることを目的としている。前年度に行ったペンタセン薄膜の構造に関する研究結果を元に、薄膜相あるいはバルク相を主相とするペンセン薄膜の熱電性能を評価した。ペンタセン薄膜自体は電気伝導率が低いため、ヨウ素ドープを行った。得られた結果は次の通りである。
1、ペンタセン薄膜に入されたヨウ素は、I_2^<δ->、I_3^-、I_5^-、I_2の形態で存在していることを明らかにした。これはI_3^-ペンセン層間に存在しているとする従来の予想とは異なる結果である。それらのヨウ素種の存在量は、薄膜相の方がバルク相よりも少ないことがわかった。
2、薄膜相めホールキャリア密度は7×10^<20>cm^<-3>であった。これはバルク相の1/2の値であり、ヨウ素種の存在量と対応している。
3、薄膜相の移動度はバルク相よりも3倍高く、0.35cm^2/Vsであった。理論計算では薄膜相の最高占有電子軌道由来のバンド幅(603meV)はバルク相のそれ(365meV)より広いことが報告されており、薄膜相におけるホールの有効質量がバルク相と比較して小さいためであると考えられる。
4、ホールキャリア密度と移動度の違いを反映して、電気伝導率はバルク相よりも薄膜相の方が高いことがわかった。電気伝導率の最大値は45S/cm(膜厚114nm、薄膜相)であった。この値は過去の報告例の1/2であるが、ドープ方法が異なるためである考えられる。
5、薄膜相とバルク相の熱起電力はほぼ等しく約50μV/Kとたった。これは、ホールキャリア密度とフェルミ準位近傍の状態密度の大小関係が競合しているためである。
以上の結果から、薄膜相で最大の出力因子2.0×10^<-5>W/mK^2が得られ、有機物では比較的高い値を達成した。今後さらに熱電性能を向上するためには、成膜条件やドープ方法を調整する必要がある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Rubbing effect on surface morphology and thermoelectric properties of TTF-TCNQ thin films2010

    • 著者名/発表者名
      E.Tamayo, K.Hayashi, T.Shinano, Y.Miyazaki, T.Kajitani
    • 雑誌名

      Applied Surface Science (未定 accepted)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ラビング基板上に成膜したTTF-TCNQ薄膜の膜構造と熱電特性2009

    • 著者名/発表者名
      林慶
    • 雑誌名

      日本熱電学会誌 6

      ページ: 9-12

  • [学会発表] ラビング基板上に成膜したTTF-TCNQ薄膜の膜構造と熱電特性2009

    • 著者名/発表者名
      林慶, Efrain Tamayo, 梶谷剛
    • 学会等名
      第六回日本熱電学会学術講演会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20090810-20090811
  • [学会発表] ヨウ素ドープしたペンタセン薄膜の熱電性能2009

    • 著者名/発表者名
      信野高志、林慶、梶谷鋼
    • 学会等名
      第64回東北支部学術講演会
    • 発表場所
      郡山
    • 年月日
      2009-12-04
  • [学会発表] ヨウ素ドープしたペンタセン薄膜の熱電特性とその経時変化2009

    • 著者名/発表者名
      林慶, 信野高志, 梶谷剛
    • 学会等名
      第70回応用物理学会学術講演会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2009-09-08

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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