研究概要 |
液体窒素温度以上で動作可能な高周波ミクサおよびSQUIDの実現を目指し,高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_8+δ(Bi-2212)を用いたスタック型トンネル接合の高品質化に関して研究を行った. Bi-2212単結晶の成長技術に関しては,熱処理時に用いる坩堝材料(アルミナ)の結晶中への汚染について化学的な分析を行った.自己フラックス法により成長させた結晶へのアルミの汚染は確認されず,高品質な単結晶が合成できていることがわかった.本研究の成果は,国際会議(ISS2007)および,国内学会(応用物理学会)にて口頭発表を行った. 研究実施計画に従い,超伝導体の交流磁化率の温度依存性を測定する転移温度評価システムの構築を行った.本システムを用いてBi-2212単結晶の転移温度を評価した結果,転移は始まる温度TC,ONは92K,完全に転移した温度TC,OFFは83Kであることがわかった.転移温度幅ΔTCを簡便に評価できるシステムの構築を行うことができた.今後さらに研究を進め,TC,OFFを改善するための結晶成長条件を検討し,研究球果を学会にて発表する計画である. トンネル接合の作製技術に関する研究に関しては,Bi-2212単結晶と電極材料であるAu薄膜の界面で発生する接触抵抗の軽減を目的として行った.Au成膜前のBi-2212単結晶表面の処理方法,およびAuの最適な成膜条件を検討することにより,これまでの報告に無い良好な接触抵抗を得ることができた.研究成果は,学術論文(JJAP)として発表した.
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