本研究の目的は、X線回折法の高度化により、半導体結晶中の理もれた領域の構造およびひすみを次世代シリコンデバイスに対応できる程度の高い空間分解能で評価する方法の開発を自指というものである。対象としては、酸化膜に加え、窒化膜、high-k膜などによって誘起されるひずみや、埋め込みBi原子細線のような低次元構造によって誘起されるひずみの評価を行う。これらの基礎データの蓄積に上り、究極的には結晶中の微小領域のひずみを自由に制御し、次世代の半導体デバイスのさらなる性能向上に役立てることを目指す。 平成20度の研究実施計では1.高能X線光学素子の作製、2.X線光学素子の評価、3.局所領域のひずみの評価、を挙げた。以下それぞれについて研究実績を報告する。 1.高分解能X線光学素子の作製 平成19年度の設計値に基づいて、物質・材料研究機構の微細加工装置使用施設において、X線集光素子の母体部分であるWSi_2/Si多層膜を作製した。断面をSEMにより観察して評価した。また二つの部分かちなる光学素子の相対位置を精度よく制御するため、スーパーインバー製のピエゾステージを作製した。 2.X線光字素子の評価、3.局所領域のひずみの評価 SPring-8の2008B期の課題が不採択になったため、実施を延期した。
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