本研究では、新しいガラスへの記録方式である、"コロナ帯電を利用したガラスへのホログラム記録"の方式を確立し、将来の実用化につながるような研究を実施している。初年度はコロナ帯電を用いたガラスへのホログラム記録の基礎実験、メカニズム解明を中心に研究をおこなった。 まず、様々な種類のガラス(合成石英ガラス、溶融石英ガラス、パイレックスガラスおよびソーダ石灰ガラス)についてホログラム記録実験をおこない、最適なガラスおよび記録条件を検討した。その結果、合成石英ガラスおよび溶融石英ガラスでは、ホログラム記録ができなかった。パイレックスおよびソーダ石灰ガラスにおいては、ガラス記録が可能であり、特にソーダ石灰ガラスにおいては、良好なホログラムが記録でき、コロナ帯電時間は長いほうが、ホログラム記録されやすいことが確認された。記録にはガラスの不純物濃度が大きく影響し、不純物濃度が大きいほど記録されやすいことが分かった。ガラスの表面及び内部をAFMおよびレーザー共焦点顕微鏡で評価したところ、ガラスの表面に微小な凹凸が形成され、ガラス内部にも屈折率分布を有することを確認した。ガラス表面付近の導電率変化や微結晶化によるものであると推測され、今後メカニズム解明をさらに進めていく予定である。また、コロナ帯電後のソーダ石灰ガラスにおいては、ガラス内部の反転対称性がなくなり、フェムト秒レーザーを用いることで2次の非線形性を発現することを確認した。
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