本研究では、新しいガラスへの記録方式である、"コロナ帯電を利用したガラスへのホログラム記録"の方式を確立し、将来の実用化につながるような研究を実施している。現在までに、コロナ帯電を用いたガラスへのホログラム記録の基礎実験、メカニズム解明および、ホログラム記録の最適化、耐環境性評価の研究をおこなった。 今年度は、特にガラスへのホログラム記録方式に着目し研究を行なった。その結果、我々の提案する方法でガラスに記録されているホログラムは"表面レリーフ型ホログラム"およびガラス表面近傍に記録される"薄い体積ホログラム"の2種類から成っていることが分かった。薄い体積ホログラムはコロナ帯電処理により消去されやすい特性と有しており、逆に表面レリーフ型ホログラムはコロナ帯電処理でも消去されにくい特徴を有していることを確認した。また、加熱処理を施すことにより、薄い体積ホログラムを表面レリーフホログラム化できることを確認しており、同時にホログラムの回折効率が増大されることから、新しいホログラムの増強法として報告をおこなった。また、表面レリーフホログラム化することで、耐環境性が大幅に向上されることがわかった。さらにパターン化したホログラム基板を24時間程度コロナ帯電することで、数十ナノオーダーの規則的なドットパターンを作製できることを発見し、特許出願を行なった。研究は順調に進んでいるが、実用化に際してはまだまだ解決すべき問題が残されている。実用化に向けて研究を継続していく。
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