研究課題
本研究の目的は、フッ化物光伝導素子作製技術を確立することにある。昨年度までに、パルスレーザー堆積法によりCeF_3及びNaF_3薄膜形成を行い、これらの薄膜を用いて光伝導素子を作製することに成功するとともに、CeF_3薄膜を用いた素子がフィルターなしで310nmより短い波長領域においてのみ応答するソーラーブラインド光検出器として利用可能であることを実証している。今年度は、まずNdF_3薄膜を用いた素子の評価を行った。この材料は真空紫外光領域での評価が必要であるため、まず真空中での素子評価を行うための装置を作製した。光源には重水素ランプを用い、これを分光した光を素子に照射することで、各波長の光を照射した際に流れる光電流を計測する。その結果、180nmより短い波長領域においてのみ光電流を観測し、NaF_3薄膜を用いた素子がフィルターなしで真空紫外領域にのみ応答することを実証した。これ以外に、YbF_3薄膜およびフッ化物の中でも最大のバンドギャップを持つCaF_2を用いた素子の作製と評価も行った。その結果、YbF_3薄膜が光伝導性を有し、210nmより短い波長領域の紫外光に対してのみ反応することも見出した。CaF_2については、重水素ランプからの紫外光には応答しないが、X線に対して光伝導性を持つことを見出した。また、薄膜の表面状態観察を行うことにより、薄膜作製時における最適な成膜基板温度などの条件について検討した。
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Journal of Luminescence 129
ページ: 1629-1631