研究概要 |
本研究では数理計画法の実用性を向上させるための研究を行っており,具体的な目標として以下の二点を定めている. (a)数理計画法の運用プロセスを支援するシステムの開発 (b)現実問題のモデル化とその解法に関する研究 平成19年度の研究においてはこれらの目標に対する基礎的研究を行い,一定の成果を得た.以下,それぞれの目的に対する平成19年度の成果の概要を説明する. (a)については,具体的な問題に数理計画法を適用する際に有用であると考えられるシステムのプロトタイプを作成した.本システムはDEMP(Development Environment for Mathematical Programming)という名前である.DEMPは,プログラムの開発環境として定評のあるEclipseをベースとしている.本研究ではEclipse上で動作するプラグインを開発することで,システムを開発することに成功した.本システムは,数理計画法の運用プロセスに現れる「モデル開発」「求解」「解の検証」という3つのフェーズのそれぞれで利用可能な機能を持つ.本システムについては,日本オペレーションズ・リサーチ学会春季研究発表会で発表を行った.来年度は,本システムの改良を行い,Web等で広く提供する予定である. (b)については,数理計画問題のデザインパターンを提案した.デザインパターンとは建築やプログラミングの世界で用いられていた概念であるが,この概念を数理計画問題のモデル作成に持ち込むことで,基本的なモデルを作成する際に役に立ついくつかのパターンを提案することができた.当初の研究計画ではこのパターンを(a)で作成したシステムに組み込んで利用可能にする予定であったが,それはまだ未対応である.これは来年度の課題としたい.また来年度は,複雑なモデルを作成する際に役に立つパターンの提案にも取り組む予定である.
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