研究概要 |
本研究では, 数理計画法の実用性を向上させるための研究として, (a)数理計画法の運用プロセスを支援するシステムの開発, (b)現実問題のモデル化とその解法に関する研究の2点を目標として定めていた. 平成20年度は, これらの目標に対して平成19年度に行った研究を発展させることを試みた. 以下, それぞれの目的に対する平成20年度の成果概要を説明する. (a)については, 平成19年度にDEMP(Development Environment for Mathematical Programming)という名前のシステムを作成した. 平成20年度は, このシステムに, モデリング言語の構文解析機能, ならびにそこから派生して得られる機能を追加した. モデリング言語で書かれた数理モデルに対して構文解析を行うと, そこに現れる集合・変数・パラメータ名とそれらの出現位置を正確に知ることができる. これにより, モデルの変更・改良作業が従来よりも容易に行うことが可能となった. さらに, 数式を構文解析することにより, それらの式の値を計算できるようになった. これを用いることで, 数理計画問題の最適性の条件を図示する機能を実装した. (b)については, 制約に論理関数を含むような数理計画問題を定式化する手法について研究を行った. 論理関数や論理変数が真であるときを1, 偽であるときを0で表現し, これを制約条件に含めることは自然であるが, その定式化はある種の「コツ」を必要とするもので, 困難な作業であった. そこで本研究では, 論理関数を入力するとそれを数理計画問題の制約条件として自動的に定式化するシステムを作成した. 論理関数の定式化には自由度があるが, 本システムでは求解時の計算量が少なくなることが期待できる定式化を行うようになっている.
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