研究概要 |
本研究では, 種々の格子構造について「第一原理格子不安定解析」を行うことにより, 析出強化超合金の界面原子構造設計につながる重要な知見を, 電子レベルから精密に評価することを目的とする. 第4ならびに第5世代の超合金開発では様々な元素が試行錯誤で添加されていることをふまえ, 電子レベルからの界面原子構造設計の指針となるデータベース構築を目指し, 周期表に従って種々の元素に対する「格子不安定マップ」を第一原理格子不安定解析により作成する. 本年度は, 4族(Ti, Zr, Hf), 6族(Cr, Mo, W)と11族(Cu, Ag, Au)元素の[001]方向単軸引張・圧縮, 静水圧引張を行い, 格子不安定となる臨界ひずみを算出した. これまでの解析で得られている元素の格子不安定ひずみを含めて, 格子不安定となるひずみにおける臨界応力σ_<33>を, 無負荷平衡状態での弾性係数C_<33>で無次元化して整理すると, 臨界ひずみε_<33>に対してσ_<33>/C_<33>が一直線上に分布することが分かった. この直線の傾きは[001]単軸引張では0.379, 単軸圧縮では0.637であった. 静水圧引張解析の場合, 同じように格子不安定となるときの平均応力σ_mを引張前の体積弾性率B_0で無次元化すると, 体積ひずみε_vに対してσ_m/B_0が直線となり, その傾きは0.389であった. この直線関係の物理的意味はまだ定かではないが, 合金強度評価のめやすとなる可能性がある.
|