研究概要 |
近年、アルミニウム合金ダイカストは生産性に優れているため、自動車部品をはじめとするさまざまな工業製品に使用されている。特にアルミホットチャンバダイカストは高い材料強度を有するため[1]注目されている。しかしこのホットチャンバダイカストのプロセスにはいくつか問題がある。例えばホットチャンバダイカストで使用されているセラミックス・スリーブやセラミックスピストンの寿命が短いことである。このセラミックス部品は高温強度の優れている窒化ケイ素で作製している。しかし、このセラミックス・スリーブは数千ショットサイクルで破損する。この原因は(i)アルミ合金中に含まれる鉄と窒化ケイ素が化学的に反応し、ピストンとスリーブ間でのかじる事[2]、(ii)窒化ケイ素の強度が低下する事(アルミ溶湯中)[3]、(iii)ピストン軸とスリーブ軸のずれによるかじりが発生する事である。特に軸のずれによるかじりはスリーブとピストンの寿命を著しく低下させる為、対策が必要とされる。この軸のずれによるかじりを防止させる為、ピストンとスリーブの改造を行った。まずピストン形状とピストンホルダーの形状を変更させ、ピストンがフレキシブルに動けるようにした。一方、スリーブはインサートタイプとし、磨耗しやすい箇所を交換できるようにした。またインサート部は耐磨耗性に強い窒化珪素を用いた。詳細の構造については研究論文[4]に記載している。新しいピストンとスリーブにより、かじりの問題は解決した。実際、長時間連続で鋳造しても問題はほとんど起こらなかった。 1. M.Okayasu, S.Yoshifuji, M.Mizuno, M.Hitomi, H.Yamazaki, International Journal of Cast Metals Research, Vol.22, (2009), pp.374-381. 2. M.Okayasu, M.Hitomi, H.Yamazaki, International Journal of Cast Metals Research, Vol.21, (2008), pp.339-348. 3. M.Okayasu, M.Hitomi, H.Yamazaki, Journal of the European Ceramic Society, Vol.29, (2009), pp.2369-2378. 4. M.Okayasu, M.Hitomi, H.Yamazaki, International Journal of Cast Metals Research, (2010), In press.
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