研究概要 |
高密度化, 高集積化された電子デバイス内に生ずる応力の定量化技術が切望されている。これは例えばストレス・マイグレーションや亀裂など, 応力による様々な弊害が報告されているためである.また近年では, 半導体ウエハやフラット・パネル・ディスプレイ用のガラスのような, 大きな素材全面の微小な応力場を緻密に短時間で定量化できることが望まれている.これは, 大きな素材から同一部品を大量に切り出す工程の歩留まりを向上させる上で重要な技術となるためである.これに応えるための非破壊検査技術の一つとして, 応力場の状態が視覚的に容易に把握できる光弾性法が有効である.光弾性法とは, 既知の偏光を試料に入射し, 透過した光の偏光状態から試料の複屈折を知ることによって, 応力分布などを求める手法である.試料を透過した光の偏光状態を知る手段として, 試料もしくは光学素子を物理的に回転させるか, 偏光面を電気的に旋回させるかのいずれかがある.一般に前者は, 微小な応力を厳密に測定できる反面, 測定速度の高速化が困難である.これに対して後者は, 高速測定が可能となる反面, 変調素子の温度に依存する特性が, 微小応力の厳密測定への隆路となる.ところで近年, 全視野光弾性法などの汎用性の高い応力解析に適している位相シフト法が, 光弾性研究者の関心を集めている. このような背景から研究代表者は, 物理的回転あるいは電気的な旋回のいずれをも要さない, なおかっ従来の位相シフト法よりもシンプルな, 新しい微小複屈折測定法を考案し, 予備実験装置を試作してきた.本年度は, その試作装置を改良し新しい微小複屈折場の測定装置をほぼ完成させた.又, 半導体ウエハの応力分布を可視化するための, LabViewによるXYステージ制御プログラムも完成させた.
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