研究概要 |
本年度得られた実績の主な内容を以下に示す. 【1】プローブによる近接場光の発生強度の評価 本研究では, ひずみ測定を近接場ラマン散乱光のピークシフトの変化量に着目して行うため, 近接場光の発生強度が重要となる. そこで, プローブによる近接場の発生強度の違いについて検討を行った. 近接場光の発生に使用したプローブは, 100mmのナノレベル微小細孔を有するプローブと細孔の無い先端に金コーティングが施されたプローブの2種類を使用した. 測定では, 100mmの微細孔を有するプローブでは, スループットが低く, 近接場光そのものの検出が困難である事がわかった. 一方, 先鋭の金コーティングプローブでは, Siにおいて近接場光のスペクトルを確認できた. しかしながら, 照射するプローブ角度が強度に影響する事がわかった. 【2】多機能化に向けた近接場光・AFMヘッドの製作 本研究の最終目標である多機能化(近接場光, トポロジー, ひずみ, 表面電荷の同時計測)の実現に向けて近接場光・AFMヘッドの改良を行った. 前年度の成果をもとに, 高精度のトポロジー評価のためのレーザー光路を設定出来るように, 光路の微調整機能を付与した. また近接場光の発生のためのレーザーは照射角度を変更できるようにプローブのアタッチメントを製作した. これにより, AFMと近接場光の多機能化を実現した. 【3】多機能近接場ラマン分光装置によるスペクトル測定 昨年開発したプロトタイプ近接場ラマン分光装置のヘッドを付け替え, シリコン(Si)の近接場光を計測した. 微弱ではあるものの近接場ラマン光を検出できたが, ひずみ測定は可能と考えられるが, 成分の分離まではより高強度の近接場光が必要である事が分かった.
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