研究概要 |
本研究では,カーボンナノチューブ(CNT)複合材料の機械的・電気的特性の向上を目的として,従来のものより長く,また長さの揃ったCNTを用いた各種検討を行う. 平成19年度は長いCNTを作成することを目的として,合成条件と長さの関係を原料ガス,圧力,基板温度等を変化させて最適合成条件の選定を行った.はじめにCNTを垂直配向合成することにより,CNT長さと合成時間などの関係を調べた.まず,真空チャンバーを自作して,プラズマCVD法で合成を行った.これまでの実験で得られた最適な条件を以下に示す.前処理段階としてSiの基板にCNT合成時の触媒となるNi膜の合成をマグネトロンスパッタで行った.直流電源を使用し,250V-0.1Aの電力,圧力2Pa,Ar流量10sccm,ターゲットー基板間距離205mm,成膜時間10secとした.この基板を別の真空チャンバーに移し,CNTを合成した.合成条件は,圧力1500Pa,C_2H_2流量10sccm,H_2流量20sccm,基板温度750℃として,電源にはRFを用い50Wの電力で合成した.この時の基板間距離は9mmである.この条件で10minの合成時間で10μm,60minの合成時間で40μmの垂直配向したCNTを基板全体に合成することができた.詳細な測定はしていないが,上述の合成条件では未だ触媒が厚いと思われるため,膜厚の測定および最適な触媒の合成条件を選定する予定である.さらにこれらのCNTを大量に合成し,複合材料として成形を行い,各種特性の測定を行う.
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