次世代硬X線望遠鏡用反射鏡の製作には、直径120mmから500mmまでの数多くの非球面金型が必要であり、その形状精度は100nmP-V以下が要求され、表面粗さは0.3nm rms以下の面が要求される。その非球面金型にPt/C多層膜を成膜し、その外に軽量基板を接着し、金型と多層膜の間で離型することにより反射鏡を製作する。精密な非球面反射鏡を製作するには、先ず超精密な大型非球面金型が必要である。また、加工後に金型形状を測定し、再加工するには形状計測は加工機上で行なうことが鉄則となる。以上のような理由で、次世代の硬X線望遠鏡用大型非球面金型を加工後に超精密非球面加工装置上で超精密形状計測する方法の開発が必須となる。 1. 直径300mm、ミラー面の長さ100mmの放物面と双曲面からなるアルミニウム合金製と無電解ニッケル製金型を超精密ダイヤモンド切削し、その形状を開発した2D超精密非球面形状測定装置で測定し、測定の妥当性と正確性を検討した。計測値から再加工用のNCデータを作成し、非球面金型を再加工し、修正加工の妥当性を検証した。 2. 直径300mm、ミラー面の長さ400mmの放物面と双曲面からなるアルミニウム合金金型を超精密ダイヤモンド切削し、その形状を上記の変位センサーで測定し、再加工した。その結果、形状精度±92nmを得た。円筒の場合、形状精度±54nmを得た。 3. 直径300mm、ミラー面の長さ210mmの放物面からなる無電解ニッケル製金型を超精密ダイヤモンド切削し、その形状を上記の変位センサーで測定し、再加工した結果、形状精度±97nmを得た。 4. 直径500mm、ミラー面の長さ400mmの放物面と双曲面からなるアルミニウム合金製金型を超精密ダイヤモンド切削し、その形状を変位センサーで測定し、大きい非球面金型の測定の妥当性を検討した。 5. 上記の形状計測実験を通じて、機上超精密非球面形状計測法を開発した。
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