研究概要 |
本研究では,超精密加工用研磨砥粒としてのナノダイヤの可能性をトライボファブリケーションの観点から明らかにした.すなわち,まず,ナノダイヤの潤滑特性をさらに解明するために,窒化珪素及びシリコン基盤を用いて,水潤滑特性の評価試験を行った結果,ナノ粒子の表面を非ダイヤモンド層が覆っているものの,純ダイヤモンド化をしなくとも,0.01wt%以上では,μ=0.05〜0.09を示し,潤滑特性が非常に優れることが明らかとなった.また,ナノダイヤの濃度を0.001wt%から5wt%まで変化させ,黄銅ボールとの往復摩擦試験を行い,さらに研磨試験を行った結果,以下の結論を得た;ナノダイヤ濃度が0.5wt%以上では,摩擦係数が0.28以下となり,黄銅ボールに対する摩耗抑制効果が高いことを明らかにした.そして,摩擦摩耗試験において,接触圧力と摩耗深さ及びナノダイヤ濃度(研磨液製造条件)の関係を見出し,ナノダイヤ濃度0.01wt%以下が研磨試験の好適条件であることを明らかにした.その上で,ナノダイヤ濃度0.01wt%,0.005wt%,0.001wt%で研磨試験を行った結果,0.005wt%ナノダイヤ潤滑下では,黄銅の初期面と比較し,約24%粗さを低減(Ra:5.80nm→4.41nm)できることが明らかとなった.なお,純水で希釈したナノダイヤの粒度分布を調べた結果,第一分布の粒径は4.9±0.7nm(98.6wt%)となり,非常に粒度分布が整っており,分散前後の粒度分布の比較から判断しても,分散安定性に優れることが明らかとなった.
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