研究概要 |
実世界の工学製品開発において設計,製造誤差や使用環境変化などの様々な不確定性が存在する状況下においても安定した性能を発揮できる製品設計候補を打ち出すロバスト最適設計探査フレームワークの確立・実証に向けて,本年度は性能統計量評価の高効率化のために応答曲面近似モジュール,および設計情報抽出の簡易化のために多次元データマイニングモジュールを開発した.応答曲面近似モジュールではKrigingモデルを採用し,それをプログラム化したものを導入した.これにより,任意の設計候補に対する性能統計量(平均・標準偏差)を高精度かつ高効率に算出できるようになり,結果として短時間でロバスト最適設計探査計算を完了できるようになった.また,データマイニングモジュールでは自己組織化マップを採用し,市販ソフトウェアの機能を組み込んだ.これにより,最適設計探査計算から得られる膨大な多次元データを2次元可視化画像に落とし込めるようになり,データに潜在する特徴的な設計情報(各性能パラメーター・設計パラメーター間の相互関係)を定性的に解釈できるようになった.さらに,データマイニングモジュールでは分散分析の導入にも取り組み,特徴的な設計情報を定量的にも評価できるようになった.以上の応答曲面近似モジュールおよびデータマイニングモジュールをロバスト最適設計探査フレームワークに導入し,これを工学設計問題(自動車用タイヤ)に適用した結果,乗り心地・ブレーキング・コーナリングに関する性能および安定性に優れた設計候補の探索,そして設計情報の抽出といった一連の作業を短時間で完了することに成功した.
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