研究概要 |
本研究の目的は,知識創造のプロセスである設計の上流段階を支援するために,そこで利用される設計知識の表現および設計知識の操作の形式を対象には依存しない汎用的なレペルで定め,設計者の思考の過程を設計と同時に護得し管理する知識管理型設計支援システムを構築することである。設計方法論の背後には何らかの形でオントロジーを考えることができ,それは上流段階の設計をする支援するシステムの基盤となり得るものである・つまり設計方法論は必然的に設計対象を記述するための概念を備えているものであり,加えて設計対象に変更を加える際の着眼点を提供するものである.このように,設計工学における設計方法論と情報科学におけるオントロジー技術融合によって展開されるものが知識管理型設計支援である本研究では,知識管理型設計支援システムの基盤となる設計のオントロジーを,いくつかの代表的な設計方法論から抽出し,体系化を行うことを試みる. 今年度は,設計の上流段階を広範にカバーするオントロジーを構築するために,製品の品質・コスト,機能,構造,製造性,分解性など上流段階における様々な視点の下での統合的な設計方法論を構築し,そのオントロジーを抽出することを目指した.そのテストベッドとして品質機能展開法(QFD)と故障モード影響解析(FMEA)に着目してそこでの概念および設計操作を抽出し,それらの間関連を明示的に定義することで両者の統合設計法を構築した.次に統合設計法のオントロジーを抽出し,それに基づいて知識管理型設支援システムをオブジェクト指向言語JAVAを用いて実装した.システム上で設計例題を実行することにより,抽出したオントロジーのもとで設計者の思考の過程を設計と同時に護得し管理ながら,設計を支援できることを確認した.
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