研究概要 |
マッキベン型人工筋肉は,人間の行動を補助するウェアラブルロボットや歩行支援機を始めとした介護・補助機器に多用されている.しかし,従来の設計・制御方法は,ほとんどが試行錯誤的な手法に基づいているうえに,人工筋肉の挙動は強い非線形性を示すため,その制御には困難を伴う.そこで本研究では,エネルギーのつり合いに基づいてチューブの幾何形状と収縮率,ゴム膜内圧,引張り力(負荷)などの理論関係式の導出を試みた.具体的には,人工筋肉の仕事速度と内圧による膨張の仕事速度に加え,各種エネルギーの損失項目を付加した理論解析手法を新たに提案した.これらの各項目は,人工筋肉の幾何形状および材料条件の関数として表されるため,エネルギーのつり合いに基づく本理論解析法により,収縮率・内圧・引張り力の経時変化の算出が可能となった.また,人工筋肉が有する周期境界に着目してユニットモデルを作成し,有限要素法を用いて効果的な数値シミュレーションを実施するとともに,実際のマッキベン型人工筋肉の収縮実験との比較を通して,理論解析手法の妥当性を検証した.以上のように,本年度の研究により,マッキベン型人工筋肉の収縮率アップなどに関する最適設計(例えば,人工筋肉を構成する各種部材の幾何形状や材料特性の選定),あるいは高精度制御を可能とする力学的指針(実際の補助作業速度と負荷の関係)の提案などの次年度の研究推進のための基礎的な成果が得られた.
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