研究概要 |
本年度は過去の研究成果をもとに熟練作業者の技能獲得,初等段階の定盤用の自動きさげ加工法の開発,およびきさげ仕上げ面の評価方法の開発を試みた. 1)熟練作業者の技能獲得と加工工具・方法の決定 きさげ作業の現場の取材および,過去の研究論文をもとに熟練者の運動を解析し,人間のような加工を行うきさげ加工工具を製作した.この工具は人間が手仕上げ加工で用いるものをもとに自動きさげ加工機に適した形に作ったもので,適切に力を調整しつつ加工をすることができる. 2)加工のシミュレーションと,段取りの決定 きさげは無数の加工を繰り返して平面度を高めていく加工法である.高精度なきさげ面を効率よく仕上げるには,あらかじめどのような加工を施せば目的の面を得ることができるかを予測する必要がある.そこで,きさげ作業の加工パターンをシミュレーションし,効率よく加工する方法を検討した.ここでは,きさげ加工痕のサイズを事前に画像計測し,CADソフトを用いて,きさげの加工パターンをシミュレーションし,その結果に基づいて加工パターンを決定した.さらに,45度づつ方向を変化させることで,きさげ独特のまだら模様をつけることも可能となった. 3)定盤の製作と評価 規格に基づいた一般作業用定盤(100×100mm)を製作した.定盤は表面粗さ測定器による表面の性状測定および,しゅう動摩擦による評価法を行った.また,本年度購入したレーザー測定システムを用いて,しゅう動時の浮き上がり量と面の平面度を評価するシステムを構成した.
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